Webサービスの顧客体験向上のための広告を考える

WebサービスやWebメディア(以下メディア)といった、オンラインで顧客と接する場を運営するにあたり、「カスタマーエクスペリエンス」や「ユーザーエクスペリエンス」など『顧客体験』が昨今重要視されています。

一方で、顧客体験の向上とメディアにおける収益性のバランスを取るのは難しい場合もあります。 メディアにおける収益を構成するものは、メディアのサービス自体の収益の他に、広告導入による収益もありますが、後者において顧客体験を損ないやすいという一面があるからです。

ただ、広告も扱い方によっては顧客体験と収益性を両立することができ、むしろメディアとのシナジーを生んで顧客体験の向上に繋げることもできます。

今回は、広告システム『admage®』の提供を通じて広告業界の様々な企業と関わってきた当社が考えた、顧客体験の向上につなげる広告のあり方をについてお話します。

  • なぜ広告は嫌われるのか
  • 広告による顧客体験の向上
  • さいごに

なぜ広告は嫌われるのか

先ほど「広告の導入は、顧客体験を損ないやすい」と述べたように、広告は場合によっては煙たがられる傾向にあります。

煙たがられる理由はその内容や表示にあります。

内容というのはその広告が発信する情報を指し、メディアが提供する情報やユーザーの欲している情報と関連性のないものはノイズでしかありません。また、スキップや消去がしづらく強制的に広告を見せるような表示、掲載範囲が広すぎたり掲載場所が悪くメディアの操作の邪魔になったりするような表示の仕方をする広告は、見させられている、と感じさせてしまいます。顧客体験の損失どころか、メディアの継続利用も危ぶまれます。

このようにメディアやユーザーの文脈に沿わない広告は煙たがられますが、逆を言えば、文脈に沿う広告はユーザーに受け入れられます。

広告による顧客体験の向上

「文脈に沿う広告」というのは、広告そのものが持つ文脈と、メディア・ユーザー側が持つ文脈とが合致している広告ということです。

ここでいう”文脈”は構成要素のようなもので、例えばメディアであれば、メディアが提供する情報(掲載情報)、メディアの視覚的な情報(ページデザインやトーン)、メディアにおけるアクション(ページ内の操作箇所や動線)といったものがメディアの文脈になります。ユーザーの持つ文脈というのは、性別や年齢、メディアへアクセスした時間や場所・デバイスなどがあります。これら文脈と広告が持つ文脈(内容やメッセージ、デザイン、表示形式、操作性)とを合致させることが顧客体験の向上に繋がります。

例えば、自宅で短時間でできるダイエットを動画コンテンツや記事を通して提供するWebメディアを想像してみます。

ユーザーのダイエットに対するモチベーションを上げるために、「この夏に痩せたらやりたい10のこと」のような特集記事を組んだとします。ここにプール施設の広告や水着の広告などが掲載されていれば、「先に予定を組んで水着も買って痩せよう」とモチベーションの更なる向上に繋げることができます。

一方で、その広告の表示の仕方もメディアにおける顧客体験の向上に影響を与えます。表示の仕方のポイントとして2点あります。

1点目は、広告枠の設置数や設置個所を厳選することです。
先ほどの例のように、メディアにおける体験の文脈に合致した広告内容であっても、むやみやたらにメディア内で表示されているのでは、ユーザーに押しつけがましく感じさせてしまいます。メディアにおける本来の体験(ダイエットに役立つ有益な情報の提供)を邪魔しないよう広告枠を厳選することが重要です。

2点目はメディアのトーンに合ったバナーを用いるということです。
先ほどのメディアで考えてみると、広告バナーで「沖縄への航空券が〇〇円~!」という訴求を用いるより、「夏までに自分を磨いて沖縄旅行へ行こう」というような訴求の方が、メディアの体験の延長線としてこの広告を捉えてもらうことができます。広告で扱う内容の詳細をそのまま訴求するよりも、メディアを利用するユーザーを意識した訴求にすることで、よりメディアの顧客体験の向上に貢献します。

このようにメディアにおける体験の文脈に沿う情報を内容面でも表示面でも違和感無く与えることが顧客体験の向上を図るにあたり重要です。そうすることで、本来そのメディアにはなかった体験をシームレスに提供することができ、顧客体験とメディアの収益化を両立させるだけでなく、さらに顧客体験を向上させることもできます。

そのために、メディアごとに合致する訴求内容やバナーで広告を配信するということ、つまり、メディア側で広告主の選定からバナーの管理まで行うということができると理想的です。

直接案件を引っ張ることや広告を管理することという点でハードルが高いかもしれませんが、既にメディアのサービス自体での収益化に余裕があるのであれば、手軽にできるネットワーク広告も活用しつつ、メディアの文脈に沿う案件などは自社運用をスモールスタートするというのもいいかもしれません。

さいごに

Webサービス・Webメディアにおける体験の文脈に合う広告を適切な表示方法で配信することは、顧客体験の向上に役立ちます。 貴社のWebサービス・Webメディアにおける顧客体験価値を高める新たなコンテンツとして広告を捉えてみてはどうでしょうか。自社で広告案件の管理などを行う場合は、弊社が提供するadmage®のような広告配信システムの導入をお勧めいたします。

広告を使った顧客体験向上をご検討の際は、数多くの広告ビジネスをシステムから支えてきた実績をもつディマージシェアにぜひご相談ください。